『春は巡る』あとがき











 最初、別場所で「春の断片」として公開した作品ですが、移転にあたり改題しました。
 わざわざ書くのもヤボですが、2008年春の「マックイーン・デー」にインスパイアされて出来た話です。実在の人物その他とは一切関係ございません。リアルタイムの事情にも研究職その他にも詳しい者ではないので、詳しいファンの方にはご不快な点もあったかと存じます。その点につきまてはあらかじめお詫び申し上げておきます。

 以下あとがきです。書いてみるとトピックが多すぎて収拾がつかなくなっていたため、項目ごとに分けます。ご興味を持たれた項目があれば覗いてみてやって下さい。

苦労した点その他設定万年筆「君」イメージソング

▽ 苦労した点

 話自体はあっという間に思いついたにもかかわらず、それを形にするのはとんでもなく難産でした。日本が舞台の話ならカタカナ名前には出来ないということで、名前をどうするかにまず悩み、次はいったいどこまで詳しく書きこむかで悩み、いくら省略しようとしても長く長く伸びていく話に苦しみ……気が付けばもう冬。まる4ヶ月抱えていたことになります。

 書くのに苦しんだ理由の一端は、この話がもともと、映像として頭にあったことです。今でも、映画なりマンガなり、画像のある(そして余計な語りが要らない)媒体で作るのがいちばん感動的になるストーリーだろうと思っています。画像で描いていけば、ウダウダしたモノローグは全て表情と動作に凝縮、そしてラストシーンは満開の桜、もうそれだけでいいんです。足さない引かない(笑)。
 それでも私が字書きである以上、表現する方法は文字しかないわけで。必死であがいてみましたが、やはり元ネタのノベライズというか、はっきり書きすぎてヤボになるのは如何ともしがたく……力及ばなかった感いっぱいです。

▽ 設定の舞台裏

 なぜ真駒は史学科になったのか。
 作者自身は歴史好きでもレベルは受験止まり、周囲に歴史を専攻した人間もいない、というわけで、詳しいからこういう設定を選んだわけではありません。よって作中の会話や設定が変だったとしたらそれは作者の知識が足りないからです。ネットで調べてみてもイマイチ分からない……。
 話を戻すと、マックさんは元々なんとなく文系なイメージだったのですが、塩野七生がチャーチルについて「不名誉なことをしながらも高潔さを維持できる男」と評していて、この評がなぜかマックの擬人化イメージと重なったために、「マック=チャーチル=現代史」という連想ゲームで史学部に落ち着いたという次第。
 学部以前に「学者志望だった」というのは、この話を思いつく前からのイメージです。どうもマックイーンの擬人化というと、私は「目が覚めるような美形じゃない柳沢教授(失礼)」を連想してしまうもので、どうしたってそういう設定になってしまいます。
 そしてイメージが柳沢教授だということは当然、他人が見ると笑ってしまうようなおかしみさも持っているだろうということで。この話は、真駒目線と真駒信者(もしくは真駒バカ)である内田氏目線だけで語られているので、その辺は描きようがなかったのですが、きっと他の人々には「うわ〜、真駒さんって本当に曲がり角を直角に曲がってる!」とか変なところでウケてたんだろうと思います。

 なお、卒業後の真駒さんについては、「奥さんは、元キャリアウーマンなイクノ姐さんだろうな」とか「政治家時代には、食えない駐米大使のSS様と渡り合ったんだな」とか、かなりいろんな設定がありましたが、本筋から外れるため全て削りました。全部書いていったら間違いなく別の話になります(苦笑)。たぶんいろいろあったんだなとご想像いただければ幸いです。
 しかし、これを書いている間に現実の政治が大波乱、テレビには二世議員がわんさか。なんだかタイムリーネタを狙ったような形になってしまってなんだかなぁ……。でもきっとブランドスーツは某総理より真駒さんの方が似合う(←ヲイ)。
 ちなみに葬儀の場面、青年秘書が藤岡くんなのは、ちょうどあの辺を書いている時、池江厩舎所属のPOG馬で藤岡騎手が勝ったからという安直〜な理由によります。他意はありません。

▽ 万年筆

 好きです。今や使う人も少ないレトロな存在になっていますが、あれほど話の「キメの小道具」として存在感のある文具は他にないと思います。ついでに下手な字も少しはマシに、上手い字はもっと美しく見せるという、実用的な魅力もあるのです。ご存じない方はぜひ一本!
 作中の万年筆ですが、当初「う〜ん、イメージとしては紺じゃないな。緑あたりが良さそう、木々の色で」という適当な理由で色を決定。後になって初めて「メジロっつったら緑に決まってるじゃん、なんで最初に気付かないんだ自分のバカバカバカ〜〜〜ッ!!!」と頭抱えたことはもちろん言うまでもありません……。

▽ 「君」

 この話、普段なら決して書かないような要素がいろいろ詰まっておりますが、最大のものは言葉づかい。
 真駒さんの一人称が「私」なのはまだしも、まさか「二人称・君」のキャラを書く日が来ようとは思いませんでした……。いや、作りものっぽくてキライなんです基本的に。でも気取った大学生(内田氏が気取っていたという意味ではなく、大学生全体になんかちょっと独特の気取りがあると思います)は使いたがる気が……ということで今回に限り限定採用。

▽ イメージソング

 お嫌いな方は以下スルーでお願いします。古いです。

 当初のイメージは、『歓送の歌』中西保志、『春よ、来い』松任谷由実あたりだったんですが、その後も果てしなく増え続け、いちいち挙げてもキリがない域になってしまいました。
 でも最終的なベストワンは、かのサイモン&ガーファンクルの「BRIDGE OVER TROUBLED WATER」で。案外、英語できそうな彼らなら自分で歌ってくれそうです。
 しかし、私は長らくこの歌を「友情の歌」だと勝手に信じていたのですが、ネットで調べてみたところ、「作り手が自分の彼女に向けた歌」という説もあるそうで、なんか裏切られたような気が(何故)。友人に対してこの歌詞なら素直に感動するんですが、意中の異性に対してだと言われると、なんというか、いくら献身的に尽くしたってそれで好いてもらえたら見返り多いもんなぁ……と。
 なんだか友情礼賛みたいになってしまいましたがこの辺で。





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